コンテンツマーケティングで、ゼロから見込客との接点を作るコツ

目次

コンテンツマーケティングとは何か?

コンテンツマーケティングとは、広告など企業が直接商品・サービスを訴求するのではなく、有益な情報をコンテンツとして発信することで、見込顧客を惹きつけるマーケティング活動のことを指します。デジタルマーケティングやWEBマーケティングの世界で最近注目されていますが、以前から紙の配布物や、情報提供セミナーなどで同様の取り組みもされていました。こうしたものも、ある種のコンテンツマーケティングであるといえます。

コンテンツマーケティングが注目される背景

現代では、商品やサービスを継続的に販売していく上においては、販売上の小細工はほとんど通用しなくなっています。ある消費者が商品を購入する際に、広告で伝えられている情報と、実際の購買体験が大きく異なるものであれば、その消費者は失望と共にSNSや口コミサイトで悪い評判を書き込みます。こういった評判は、企業側から出されている情報ではないため信憑性が高く、特に悪評は一気に広まると共に、見込顧客の購買回避行動へ直結してしまいます。

このため、見込顧客に対しては、商品やサービスを直接売り込むための情報を過剰供給するよりも、顧客の購買体験やメリット、有用な情報を提供し、商品の興味関心や信頼性を高めてもらうことが有効であることが多く、コンテンツマーケティングへ注目が集まっています。


コンテンツマーケティングの狙い

コンテンツマーケティングの狙いはいくつかあります。

代表的な狙いとしては、

  • 見込顧客の獲得
  • 商品、企業などブランドの認知度向上
  • 優秀な人材の獲得

などがあります。今回は見込顧客の獲得に絞って解説します。

見込顧客の分類

見込顧客は、非認知層、潜在層、準顕在層、顕在層に分けられます。

  • 非認知層:商品やサービスのカテゴリに(ある時点で)興味が無い層
  • 潜在層 :商品やサービスのカテゴリーには興味があるものの、自社の商品やサービスが知られていない層
  • 準顕在層:商品やサービスのカテゴリーに興味があり、自社の商品やサービスを知っているが、
    購入の検討がされていない層
  • 顕在層 :商品やサービスのカテゴリーに興味があり、購入の検討をしている層
見込顧客の4分類
見込顧客の4分類

これらの見込顧客の各層に対して、それぞれの層に対して適切なコンテンツを提供していくことで、見込顧客との接点を構築していく活動がコンテンツマーケティングであるといえます。

見込顧客に有用なコンテンツの制作

コンテンツマーケティングを進めるためには、見込顧客に取って有用なコンテンツを作る必要があります。例えば、デジタルマーケティングを支援するサービス提供会社の場合であれば、最新のデジタルマーケティング手法を解説したり、マーケティングに役立つ方法論などがコンテンツに該当します。まずは、このようなコンテンツを作れるかがポイントとなります。自社で持たれているハウツーやデータ、FAQなどを活用して、有用なコンテンツが作れるか検討してみましょう。

コンテンツコンバート戦略を意識する

このようなコンテンツを、いくつかの手段を使って拡散していきます。代表的な手段・メディアは以下のようなものです。

  • ブログの記事
  • youtubeやtiktokなどの動画、ショート動画
  • Instagram、LINEなどSNSでの情報発信
  • ホワイトペーパー(コンテンツを文書にまとめたもの)
  • セミナー、ウェビナー
  • インフォグラフィック(データや情報を、図やイラストでわかりやすく表現したもの)
  • オンラインカタログ

などがあります。


1つのコンテンツを、複数の手段で拡散することを「コンテンツコンバート戦略」といい、コンテンツマーケティングを進める上で不可欠の概念となっています。とはいえ、専任のマーケティング組織などがない場合はハードルが高くなりがちです。自社の商品・サービスと相性の良い、いくつかの手段を選択して展開していくことになります。
こうした活動を通じて、見込顧客との関係性を構築していくことになります。

コンテンツコンバート戦略
コンテンツコンバート戦略

コンテンツの部品化(モジュール化)を進めてみる

コンテンツマーケティングを効率的に進めていくコツに、部品化と呼ばれる手法があります。部品化の手順は以下です。

  1. 最初に、全体像を網羅したコンテンツの塊を作成する
  2. コンテンツをある単位で切り分けられるように、1章、2章のような形で構造化する
  3. 構造化された各章を、1つの「部品」とする

各章だけを切り出しても、それぞれ独立したコンテンツとして成立していることが大切です。

コンテンツモジュール(部品)の具体的活用方法

例えば、見込顧客の発掘のために、コンテンツマーケティングを行うとします。この際に、大きなコンテンツの塊を全てブログに載せてしまうようなことはあまり得策とはいえません。一例ですが、以下のように設計・運用します。

  1. マーケティング目標を設定します。(例:潜在顧客のメールアドレスなど連絡先の獲得など)
  2. 見込顧客の期待導線を設計します。(例:SNS→WEBサイトへ訪問→ホワイトペーパをダウンロード)
  3. 顧客接点(コンバージョンポイント)を設計します。
    (例:ホワイトペーパーダウンロード時にメールアドレスを取得)
  4. モジュール(部品)の一部を拡散します。(例:1章のみをSNSへ投稿、WEBサイトに1章と2章など一部を掲載)
  5. 導線通りにコンバージョンできているか、検証を行い、必要に応じてチューニング・改善を加えます。

上記のような設計・運用であれば、大きなコンテンツの塊と引き換えに、潜在顧客の情報を獲得することができます。これはリードジェネレーションと言われる施策の一部ですが、コンテンツをモジュール化し活用を図ることで、1つのコンテンツを上手に使っていくことができるようになります。

コンテンツマーケティングのメリットとデメリット

コンテンツマーケティングは、売り込み要素をできるだけ排除していることもあり、見込顧客に有用な情報を提供できるメリットがあります。見込顧客との関係性強化や好感を得やすく、見込顧客のリスト化のプロセスなどでは有用です。反面、準備や推進に相応の工数がかかりますが、すぐに売上に結びつきにくく、短期的な成果には繋がりにくいデメリットもあります。中長期で腰を据えながら進めていく施策であるといえるでしょう。

企業内でコンテンツを重視する文化の醸成が鍵

コンテンツマーケティングを上手に進められている企業では、マーケティング部門だけでなくセールス部門やサポート部門に至るまで、見込顧客との良質な接点を作ることの重要性や、見込顧客との関係性強化を理解・意識できています。とはいえ、これまでコンテンツマーケティングをあまり意識してこなかった企業では、その目的や意義を理解してもらうことから始める必要があるでしょう。リーダーは、チーム全体としてコンンテンツを制作していくことの意識改革や、報酬・インセンティブの設計、外部資源の活用、社員研修などが必要となるケースもあるでしょう。外部の有識者からアドバイスを受けてみることも有効です。アーチ経営サポートでは、コンテンツマーケティングを含むデジタルマーケティング支援サービスや、マーケティング研修も行っています。ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。


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この記事を書いた人

アーチ経営サポート代表 
デジタル拡販アドバイザー / 中小企業診断士 鈴木 將路

IT業界で20年以上、統合基幹業務ソフトウェア事業(ERP事業)に関与。マーケティング責任者、自ら企画したSaaS事業の事業責任者などを担当。ソフトウェア事業開発、新規事業立ち上げ、BtoBマーケティングで20年超の経験を持つ。

現在、成長企業向けに、デジタルマーケティング支援やマーケティング研修、補助金活用サービスなどを展開中。企業経営者と目線を合わせた、きめ細やかなサービスを提供している。中小企業庁認定 経営革新等支援機関。Certified in the Prompt Engineering for ChatGPT Course at Vanderbilt University.

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