ChatGPT(AI)によるマーケティング効率化のヒント5選

目次

AIチャットボット、ChatGPT(チャットジーピーティー)の衝撃

ChatGPTとは、2022年11月30日に人工知能研究所であるOpenAIによってリリースされたAIチャットボットです。OpenAIが開発したGPT-3言語モデルの上に構築されています。ChatGPTは大量のテキストデータを学習することにより、ユーザーがあたかも人間と会話を行うような、対話型コミュニケーションを可能にしています。

ChatGPTでは、ユーザがチャット画面から入力を行うことにより、文書生成、文書内容の把握、文書の要約など、多様な作業を行うことができます。このChatGPTを使用することで、様々な作業の自動化や効率化が可能になります。

対話型のAIチャットボットは、利用者が聞きたいことをピンポイントで答えてくれるため、情報探索、情報収集のためのコストが極めて低いです。これまで、Googleなどの検索エンジンを使ってWEB上の情報から、自身が必要な情報を探索していたプロセスのかなりの部分を省略することができるようになります。今後さらなる精度の向上により、検索エンジンの代替となる可能性もあります。

ChatGPTは2022年11月30日に公開されると、公開6日目で100万ユーザーを突破したと報じられました。その後、公開2ヶ月間で1億人のアクティブユーザを獲得するに至っています。このスピードで広がったグローバルアプリは過去に例がなく、1億人のアクティブユーザを獲得するのにInstagramで2年以上、動画アプリのTikTokでも9ヶ月を要しています。ChatGPTの台頭を受けて、2022年12月には、Googleの経営陣が「Code Red(事業継続上の緊急事態)」を発行したと伝えられています。

ChatGPTの入力画面
ChatGPT を活用したプロンプト集がダウンロードできます!

ダウンロード資料には以下が含まれています。

マーケティング現場で使える最新AIの紹介
プロンプトエンジニアリングの基本
ChatGPTを活用したマーケティングプロンプト集

以下ページよりダウンロードください。

アーチ経営の鈴木です。資料はリンクページよりダウンロードできます。

OpenAIとGPT-3言語モデル

OpenAIは、2015年12月に、テスラのCEOやTwitterの買収で話題となったイーロン・マスクを含む複数の投資家により設立された人工知能研究所(AIの研究所)です。汎用人工知能が人類全体に利益をもたらすことを使命とし設立されました。

GPT-3とは、OpenAIが開発した大規模な自然言語処理の人工知能モデル(AI)です。GPTとは「Generative Pre-trained Transformer(生成的事前学習済トランスフォーマー)」の略であり、2017年に発表された高速かつ高精度の深層学習モデル「Transformer」を採用しています。「Transformer」は、最も可能性の高い次に来る単語は何か?というアプローチで学習し、文章出力においても同様の仕組みで動作します。(次単語予測)。

「Transformer」は、最も可能性の高い次に来る単語は何か?というアプローチで学習し、文章出力においても同様の仕組みで動作する。(次単語予測)
Transformerは、最も可能性の高い次に来る単語は何か?というアプローチで学習し、文章出力においても同様の仕組みで動作する。(次単語予測)

WEB上にある大量の文章データを機械学習することにより、人間のような文章を生成することができます。原則的に機械学習では、学習データと計算力を増強し、パラメータの数を増やすことで、どんどん高精度となっていく性質があります。GPT-3は、ウェブ上にある大量データ(約4兆単語)で学習し、約1,750億個ものパラメータを持つと言われています。GPT-3は前のモデルであるGPT-2よりも大幅に改良され、より自然な文章生成や、翻訳、要約、回答生成を可能にしています。2023年3月には、OpenAIはChatGPTのAPIを提供開始し、アプリ開発者はAPIを通じてChatGPTのサービスを利用できるようになりました。GPTは人工知能技術の進化を反映し、今後、より多くのアプリケーションやサービスに利用されていくことになるでしょう。

GPT4の正式リリースと能力

2023年3月14日に、OpenAIはGPT-3の後継であるGPT-4を正式リリースしました。2023年3月時点で、OpenAIはGPT-4をどのようなデータやパラメータで学習させたのかを明らかにしていません。ただ、①マルチモーダル型となり、入力に文字以外に画像を受け付けられるようにしたことと、②Microsoft BingにはGPT-4が採用されていることが分かっています。(本記事の下部を参照)GPT-4にアメリカの司法試験であるUniform Bar Examを解かせたところ、スコアが298点/400点となり、上位10%(90パーセンタイル)にランクインする結果を出したとされています。ChatGPTに採用されているGPT3.5が上位から90%(10パーセンタイル)の213点/400点であったことを踏まえると、かなりの性能向上が図られていると推測されます。今後、マーケティング効率化の検討においてGPT4を利用する場合でも、高精度の恩恵を受けられるプロンプトの生成力が、より大切となっていきます。

OpenAI GPT-4 Technical Reportより引用 アメリカの司法試験であるUniform Bar Examのスコア部分の抜粋
OpenAI GPT-4 Technical Reportより引用 アメリカの司法試験であるUniform Bar Examのスコア部分の抜粋

ChatGPTによるマーケティング効率化のヒント5選

ChatGPTには、使い方次第で様々な可能性があります。企業のマーケティングや営業に携わる方は、ぜひ活用を図っていきたいところです。日々のマーケティング活動の効率化において、有効と考えられる使い方は以下のようなものです。

前提:ChatGPTへの指示(プロンプト)の基本とコツ

ChatGPTに出す指示の仕方一つで性能が大きく変わります。期待通りの回答に近づけるため、以下のポイントを抑えて指示を出してみましょう。

  1. ChatGPTの役割を限定する。 
    AIの役割を限定することで、回答の精度を向上させることができます。
    例:「AIであるあなたはマーケティングの専門家です。」

  2. ChatGPTへの指示は具体的に出す。
    「うまい方法を教えて」のような抽象的な指示は、回答精度が悪くなります。
    指示を具体的に出すようにしてください。
    例:「ChatGPTとは何か」というブログ記事の見出しを3つ提示してください。

  3. 必要に応じてChatGPTに追加情報を与える
    ChatGPTが保有していない情報を与え、精度を向上させることができます。
    この場合は、”””や###などの区切り文字(デリミタ)を用いると良いとされています。
    ChatGPTの場合には、三重引用符や三重ハッシュ記号を用いることが多いです。
    具体例としては、以下のような入力を行います。

    三重引用符で区切られた箇所は追加情報です。
    ”””岸田 文雄は日本の政治家です。自由民主党所属の衆議院議員、内閣総理大臣、自由民主党総裁を努めています。”””

  4. 複雑なタスクは、単純なサブタスクに分割する。
    タスクが複雑な場合、いくつかの単純なサブタスクに分割して指示を与えると精度が向上します。

  5. ChatGPTに必要な情報が他にも無いか質問させる。
    期待している回答が得られない場合、指示が不十分な事があります。
    その際には、「情報が不足していれば質問してください。」とChatGPTから質問をさせ、ChatGPTが考慮するための情報を補完する方法があります。

  6. ChatGPTには英語で考えさせる。
    ChatGPTはWEB上にある「4兆単語」で学習していますが、言語学習量は英語が圧倒的に多いため英語で考えさせると精度が向上します。

  7. 質問を再読させる。
    これは、RE2戦略(Re-reading)と呼ばれる手法で、質問を再読させると、ChatGPTの推論能力が向上することがわかっています。

    ###RE2戦略
    「ChatGPTとは何か」というブログ記事の見出しを3つ提示してください。
    質問をもう一度丁寧に読んでください。「ChatGPTとは何か」というブログ記事の見出しを3つ提示してください。

  8. メタ認知プロンプティングを活用する。
    メタ認知プロンプティング(Metacognitive Prompting)という、ChatGPTの認知度を高める手法を利用し、回答精度を上げる方法があります。具体的には、質問の最後に以下のような記述を行い、ChatGPT自身に内容の評価をさせる手法です。※メタ認知プロンプティングは2023年8月にこちらの論文で紹介された手法です。

    ###メタ認知プロンプティング
    質問内容を丁寧に理解してください。
    質問に対する最初の回答案を作成してください。
    回答案が正しいか、批判的に評価してください。
    上記評価を踏まえ、最終的な回答を作成してください。なぜその回答を選択したか、理由を説明してください。
    最終的な回答についての信頼度を評価してください。

  9. アイディアを出してもらうときには、水平思考(Lateral Thinking)で回答を提示させる。
    ChatGPTに何らかのアイディアを出してもらうときには、「水平思考で考えて(think with lateral thinking.)」と指示するだけで、多面的角度からの回答を得られるようになります。

このようなChatGPTなど生成系AIへの指示のコツのことを「プロンプトエンジニアリング」と呼びます。本記事の下部で詳しく紹介しています。

ヒント1:ChatGPTに、オウンドメディアなどのコンテンツ記事の骨子案を生成してもらう

コンテンツマーケティングやオウンドメディアに取り組んでいる場合、定期的にWEBサイトやブログなどに記事を公開することになると思います。例えば、記事の骨子を考えたい時に、「ChatGPTで何ができるのか」記事の構成案の見出しを提示してください。と質問を投げてみました。以下のような記事の骨子案を生成してもらうことができます。プロンプトは以下です。

コンテンツ記事の骨子案を生成するプロンプト

###AIの役割
あなたはマーケティングコンテンツの専門家です。

###指示内容
「ChatGPTで何ができるのか」に関する、包括的で詳細な記事を作成することになりました。
記事は、トピックのあらゆる側面をカバーするように設計され、徹底的な正確さと魅力的なコンテンツに重点を置く必要があります。

「ChatGPTで何ができるのか」の記事について構成案と見出しを提示してください。
各見出しごとに、文章を200~300文字で作成してください。

###考慮条件
英語で考えてください。ただし、すべて日本語で回答してください。この要素は重要なので無視しないでください。
ステップバイステップで考えてください。

出力結果は以下のようになりました。

「ChatGPTで何ができるのか」記事の構成案の見出しを提示してもらう
ChatGPTにコンテンツ記事の骨子案を提示してもらう

ヒント2:ChatGPTにコンテンツの要約案を提示してもらう

マーケティング施策には、メールマガジンやWEBサイトなどを通じて、何らかのテーマを見込み顧客に知ってもらう(=認知してもらう)ための活動を行うことがあります。認知活動の事前準備として、各種報告書や、まとまった文章を要約して原稿に起こす作業が発生することがあります。そんな時、以下のように文章の要約をChatGPTに作成してもらうことができます。要約の指示は、要約したい文章の文末に「TL;DR」と入力するだけで要約できます。TL;DRとは、「Too Long, Didn’t Read」の略で、長すぎて読めないので要約してという趣旨の英語のスラングです。

この例では、ChatGPTに童話「桃太郎」を要約してもらっています。結果は以下のようになりました。

ChatGPTにコンテンツの要約案を提示してもらう
ChatGPTにコンテンツの要約案を提示してもらう

長文の要約が必要な場合

ChatGPTでは、一度にやり取りできるトークン数(≒文字数)の上限が決まっています。入力する文章が長すぎると以下のようなエラーが表示され、文章を読み込ませることができません。

ChatGPTで入力文字数が長すぎる場合に表示されるエラー
ChatGPTで入力文字数が長すぎる場合に表示されるエラー


このような長文の要約が必要な場合には、以下のように文章を分割してChatGPTに渡すことができます。全ての文章を渡し終わった後、TL;DRを入れると要約してくれます。

長文を分割して読み込ませるプロンプト

###AIの役割
あなたは文章編集の専門家です。

###指示内容
以下の文章を理解してください。理解できたらOKとだけ回答してください。

~文章の続きを入れて繰り返し~

(最後に)TL;DR

ChatGPTに長文を渡し要約してもらう①
ChatGPTに長文を渡し要約してもらう①

連続して文章の続きを入力し、最後にTL;DRをセットします。

ChatGPTに長文を渡し要約してもらう②
ChatGPTに長文を渡し要約してもらう②

すると、以下のように要約してくれます。

ChatGPTに長文を渡し要約してもらう③
ChatGPTに長文を渡し要約してもらう③

ChatGPTのWeb Browsing機能を使い、論文などの要約を行ってもらう

2023年5月には、ChatGPTのWeb Browsingの機能を使い論文の要約を行ってもらうこともできるようになりました。本機能はChatGPT Plus(有償版)を契約しているユーザ限定です。以下は、ChatGPTなどの大規模言語モデルの推論能力を向上させる、Chain-of-thought prompting(連鎖的思考プロンプト)に関する英語の論文ですが、以下のように指示することで、日本語で要約を受け取ることができます。マーケティングで海外の論文調査などを行う際にも力を発揮できそうです。(ChatGPTのWeb Browsing機能は一時利用ができない状態となっていましたが、2023年9月28日にChatGPTPlusユーザ、法人利用ユーザを対象に再度、利用ができるようになりました。)

論文を指定し要約させるプロンプト

###AIの役割
あなたは大規模言語モデルの専門家です。

###指示
以下の論文の内容を日本語500文字程度で要約して
Chain-of-Thought Prompting Elicits Reasoning in Large Language Models

ChatGPTのWeb Browsingの機能を使い論文の要約を行ってもらう
ChatGPTのWeb Browsingの機能を使い論文の要約を行ってもらう

要約精度を向上させる、CoD(Chain of Density)プロンプティング

2023年9月8日に、文章の要約精度を向上させるCoD(Chain of Density)プロンプティングが発表されました。CoDプロンプティングを利用するには、以下のようにします。

CoD(Chain of Density)プロンプティングによる要約

###CoDプロンプティング
1~3の要素に焦点を当てた最初の要約を作成します。
反復するたびに、前の要約の長さを増やさずに、1~3の新しい要素を追加します。
長さを維持するために抽象化、融合、圧縮を使用します。
前の要約から要素を削除してはなりません。
スペースを確保できない場合は、新しい要素の数を減らします。
各要約の単語数が正確に同じになるようにします。

以下は、岸田総理が2023年9月に「ASEAN関連首脳会議等について」会見した際の文字起こしです。こちらをCoDプロンプティングを使って要約させてみると以下のようになりました。要約の精度が向上しているのがわかります。

以下は、岸田総理が2023年9月に「ASEAN関連首脳会議等について」会見した際の文字起こしです。こちらをCoDプロンプティングを使って要約させてみます。
CoDプロンプティングによる、要約精度の向上
CoDプロンプティングによる、要約精度の向上

ヒント3:ChatGPTにマーケティング施策の構成案を提示してもらう

マーケティング施策を行う際に、各施策をどのような構成とするのかを考えるのには時間がかかるものです。ChatGPTを活用してマーケティング構成案の叩きを出してもらうことができます。まずは、ChatGPTにメールマガジンの構成案を訪ねてみます。ここでは、電子部品商社向けに貿易管理システムを販売したいマーケターを例に、ChatGPTへ具体的な指示を与えてみます。結果は以下のようになりました。

メールマガジンの構成案を生成するプロンプト

###AIの役割
あなたは、最新のデジタルマーケティングに精通した専門家です。

###与件①:顧客
年商300億円の電子部品の専門商社の社長、経営層、IT部門の心を揺さぶるメールマガジンを作成します。 電子部品商社は、適切な在庫管理による需要と供給のバランスの調整が求められたり、品質や価格、納期、技術サポート、アフターサービスで競合と差別化する必要があります。 更に多くの電子部品商社は、海外の製造業者から商品を輸入しています。しかし、海外取引には為替リスクや物流リスク、政治的リスクなどがあります。 電子部品商社は、これらのリスクを適切に管理し、海外取引による損失を最小限に抑えることが必要です。

###与件②:自社サービス
私の会社では、貿易管理システムを提供しています。貿易管理システムでは、輸出・輸入業務や船積書類の作成、複雑な通関業務の支援などを行います。 またデータ連携の機能により、販売管理システムや財務会計システムともシームレスに連携します。

###指示内容
メールマガジンは、貿易管理システムについて語られ、あらゆる側面を網羅的にカバーするように設計され、徹底的な正確さと読み手の心を打つ魅力的な文章に重点を置く必要があります。 この作業には多大な労力が必要となるかもしれませんが、近道をしないで丁寧に取り組んでください。

###出力フォーマット
メールマガジンの内容について、タイトル、完全な文章と段落で書き出してください。

###考慮条件
英語で考えますが、すべて必ず日本語で回答してください。この要素は重要なので無視しないでください。
丁寧な日本語で記載してください。
ステップバイステップで考えてください。

出力結果は以下のようになりました。

ChatGPTに電子部品商社向けに貿易管理システムを提供するメールマガジンの構成案を提示してもらう
ChatGPTに電子部品商社向けに貿易管理システムを提供するメールマガジンの構成案を提示してもらう
ChatGPTに電子部品商社向けに貿易管理システムを提供するメールマガジンの構成案を提示してもらう

別の例として、ChatGPTに販売管理ソフトウェアの導入事例の構成案を提示してもらいました。導入事例の細かい文章は人間が書く前提で、構成案だけを引き出すこともできます。以下のようになりました。

販売管理ソフトウェアの導入事例の構成案を生成するプロンプト

##AIの役割
あなたは、最新のデジタルマーケティングに精通した専門家です。

##指示内容
販売管理ソフトウェアの導入事例について構成案を提示してください。

##考慮条件
英語で考えますが、すべて必ず日本語で回答してください。この要素は重要なので無視しないでください。
丁寧な日本語で記載してください。
ステップバイステップで考えてください。

ChatGPTに販売管理ソフトウェアの導入事例の構成案を提示してもらう

ChatGPTに販売管理ソフトウェアの導入事例の構成案を提示してもらう

ヒント4:ChatGPTにアンケートの質問案を提示してもらう

セミナーやイベント、研修会などの終了後に、聴講者アンケートを取得することがあります。ChatGPTを活用してアンケートの質問案を出してもらうこともできます。以下はマーケティング担当者向け研修が終わった後のアンケートの質問について、案を出してもらっています。

アンケートの質問案を生成するプロンプト

###AIの役割
あなたは、最新のデジタルマーケティングに精通した専門家です。

###指示内容
BtoBマーケティングを行いたい、マーケティング担当者向け研修を行います。
終了後、アンケートを実施します。
アンケートの設問案を提示してください。

###考慮条件
英語で考えますが、すべて必ず日本語で回答してください。この要素は重要なので無視しないでください。
水平思考で考えてください。
ステップバイステップで考えてください。

出力結果は以下のようになりました。

ChatGPTにマーケティング担当者向け研修実施後のアンケート設問案を提示してもらう際のプロンプト
ChatGPTにマーケティング担当者向け研修実施後のアンケート設問案を提示してもらう
ChatGPTにマーケティング担当者向け研修実施後のアンケート設問案を提示してもらう

ヒント5:ChatGPTにSEOキーワードやコンテンツ案を提示してもらう

ChatGPTに、SEO(Search Engine Optimization/ 検索エンジン最適化)対策を行う際の、SEOキーワードの案やコンテンツ案を提示してもらうことができます。以下では、「30代に勧めたい、コスメ・化粧品」についてSEO対策を考えたい際の質問と回答です。ChatGPTに適切に指示を与えることで、表組みにして回答を提示してもらうこともできます。

アンケートの質問案を生成するプロンプト

##AIの役割
あなたは、最新のデジタルマーケティングに精通した専門家です。

##指示内容
30代に勧めたい、コスメ・化粧品についてSEO対策を行います。
対象となるSEOキーワードとコンテンツについて表形式で提示してください。

##考慮条件
英語で考えますが、すべて必ず日本語で回答してください。この要素は重要なので無視しないでください。
ステップバイステップで考えてください。

ChatGPTに、SEO対策を行う際の、SEOキーワードの案やコンテンツ案を提示してもらう
ChatGPTに、SEO対策を行う際の、SEOキーワードの案やコンテンツ案を提示してもらう

ChatGPTプラグインを利用した画像・動画クリエイティブ制作

ChatGPTの有償ユーザであるChatGPT Plusであれば、ChatGPTプラグインが利用できます。ChatGPTプラグインを利用した画像・動画クリエイティブ制作の方法については以下記事を合わせてご覧ください。

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ChatGPTの始め方

ChatGPT利用時のトップ画面

ChatGPTは、以下の手順で利用を開始することができます。

  • 公式サイトにアクセスして、アカウントを登録(サインアップ)します。
  • アカウント登録は、メールアドレスの他、Googleアカウント、Microsoftアカウント、AppleIDで登録ができます
  • メールアドレスで登録する際には、プロフィールと電話番号を入力します。電話に6桁の認証コードが入ったSMSが到着しますので、そちらを登録して完了です。
ChatGPTのアカウント登録画面
ChatGPTのアカウント登録画面

ChatGPTを使ったマーケティング効率化の注意点

これまで見てきたように、ChatGPTはマーケティングにかかる作業の効率化においても、大変有効であることがご理解頂けたのではないでしょうか。そんなChatGPTですが、現時点では過渡期でもありいくつかの注意点もあります。

注意点①:回答内容の精査が必要

便利なChatGPTですが、回答内容が正しいかどうかの精査は必要です。ChatGPTのような大規模言語モデルは構造上、幻覚(Hallucinations)を引き起こすことが知られています。幻覚(Hallucinations)とは、人工知能が学習したデータからは正当化できないはずの回答を堂々とする現象のことで、現状では情報の受け手側に内容の正否を判断するための相応の知識が求められます。また、ChatGPTはある期間より先の情報については持ち合わせていません。2023年11月に更新され、有料版ChatGPT PlusのエンジンであるGPT-4 の学習情報は2023年4月まで、無料版ChatGPTのエンジンであるGPT3.5の学習情報は2021年12月までとなりました。ChatGPTの学習期間が終了したタイミングをナレッジカットオフ(knowledge cut off)といいます。特に新しい情報についてはより丁寧な精査が必要です。以下は、2023年2月時点において、現在の日本の総理大臣、岸田 文雄氏について訪ねたものです。

ChatGPTは現時点で、事実で無い回答が含まれていることがある

ChatGPT Web Browsingがリリース

ChatGPT Plus(有償ユーザー)を対象に、ChatGPT Web Browsingがリリースされました。2023年5月13日時点ではベータ版となっています。この機能を利用することにより、ChatGPTでもWEB検索を行うことで、2021年9月以降の情報にも接続できるようになりました。後述する、Microsoft BingやGoogle Bardと同様の機能となります。

ChatGPT Web Browsingのチャット画面 アイコンが紫色となっている
ChatGPT Web Browsingのチャット画面

マーケティングの世界で、2022年頃に登場した概念の1つに、コンテンツレッドグロース(Content-Led Growth)があります。コンテンツレッドグロースを端的に言うと、コンテンツを使用して売上を促進し、顧客の維持とアップセルを促進するマーケティング戦略のことを指しています。標準のChatGPT(GPT3.5やGPT-4)はこの内容を知らないため、通常は以下のような回答となります。

2022年頃に登場したコンテンツレッドグロース(Content-Led Growth)について、2021年9月までの知識しかないChatGPTに尋ねる
2022年頃に登場したコンテンツレッドグロース(Content-Led Growth)について、2021年9月までの知識しかないChatGPTに尋ねる

これに対し、ChatGPTのWeb Browsing機能を利用すると、コンテンツレッドグロース(Content-Led Growth)のような最新のマーケティング戦略についても視座を得ることができるようになります。GPT-4の推論能力と組み合わせることで、有益な情報を得ることができるようになります。

ChatGPT+WEB Browsingにより、コンテンツレッドグロース(Content-Led Growth)のような、最新のマーケ手法についての情報も得ることができる
ChatGPT+WEB Browsingにより、コンテンツレッドグロース(Content-Led Growth)のような、最新のマーケ手法についての情報も得ることができる

注意点②:回答内容をそのままWEBサイトなどの記事にしない

原理的にはChatGPTを使って、これまで手作業で書いていたWEBサイトやブログなどのコンテンツ記事を大量生成することも可能です。こうした記事の大量投稿について、2023年1月時点においてGoogleは明示的にスパムと認定してはいません。ですが、今後おそらく何らかのチェックの仕組みが組み込まれることで、スパムに認定されるリスクがあると考えられます。既にOpenAIでは、AI Text Classifierという、1000文字以上の文章がAIによって書かれたものなのかを判別する仕組みを公開しています。(AI Text Classifierは2023年7月20日に公開停止となりました。)このような類似技術が発展し、質の低いコンテンツやコピーコンテンツが淘汰される可能性もあります。

1000文字以上の文章がAIによって書かれたものなのかを判別する、OpenAIのAI Text Classifier(現在公開停止となっています。)
1000文字以上の文章がAIによって書かれたものなのかを判別する、OpenAIのAI Text Classifier(現在公開停止となっています。)

ChatGPTのような文章生成AIはあくまでも補助的に利用し、文章の編集や最終構成は人間が行うだけでも、以前と比べると十分な効率化・生産性の向上が図れます。今後、マーケティングコンテンツの制作現場では、「AIでコンテンツの骨格を生成+人間が編集」といった作業の分担が主流になるかもしれませんね。

注意点③:入力データをChatGPTの学習に利用されたくないときは、オプトアウト申請する

ChatGPTを提供しているOpenAIでは、「Data usage for consumer services FAQ」記事の中で、ChatGPTの入力データをAIの学習に利用する可能性があるとしています。
入力データを学習に利用されたくない場合には、こちらのリンクからオプトアウト申請ができます。

オプトアウト申請手順は、上記リンクのGoogleフォームにメールアドレス、Organization IDとOrganaization nameの3項目を記載し送信します。Organization IDとOrganaization nameの調べ方は以下画像を参考にしてみてください。

ChatGPTをオプトアウトするための、Organization IDとOrganaization nameの調べ方
ChatGPTをオプトアウトするための、Organization IDとOrganaization nameの調べ方

ChatGPT上からのオプトアウト機能が追加

ChatGPTが2023年4月26日にアップデートされ、ChatGPT上 でチャット履歴をオフにできる機能が導入されました。チャット履歴が無効になっているときに開始された会話は、AIのトレーニングや改善には使用されず、履歴サイドバーにも表示されなくなりました。また、いつでも設定変更ができるようになりました。上記で紹介した既存のオプトアウト手順を踏むよりも、よりもシンプルに管理できるようになります。

注意点としては、チャット履歴が無効になっている場合でも、新しい会話は 30 日間保持されます。これは不正行為の監視目的に必要な場合にだけ利用され、その後記録とともに削除されることになりました。

設定は以下のように行います。

ChatGPT上からのオプトアウト設定機能
ChatGPT上からのオプトアウト設定機能

顧客の入力データをAIの学習に利用しない、法人向けのChatGPT Enterpriseもリリース

2023年8月29日に、顧客の入力データをAIの学習に利用しない、法人向けChatGPT Enterprise版もリリースされました。法人利用に適した、通信の暗号化やSOC2認証などのセキュリティ対応を充実させたバージョンです。こちらは、GPT-4の無制限のアクセス、GPT-4の2倍高速化、32Kトークン対応など、法人としてChatGPTを活用しやすいようにサービス化されています。なお、ChatGPT Enterpriseについては価格が公開されておらず、営業への問い合わせが必要となっています。詳細はこちらの記事を参照ください。

ChatGPTにプロンプト設定を保存できる「Custom instructions」

ChatGPTにプロンプトの設定を保存できる、「Custom instructions」が追加されました。Custom instructionsは、ChatGPTの【役割】と【回答ルール】を事前に設定できます。これにより、今までプロンプトで重複的に記載しなければならなかったChatGPTの役割や回答ルールを記憶させることができるため、より作業の効率化が図れることになります。

ChatGPT Custom instructionsの使い方

Custom instructionsは、以下のように利用します。

ChatGPT Custom instructionsの使い方

①上段部分には、ChatGPTに何を知っておいてもらいたいかを記載します。ここでは主にChatGPTの役割を定義すると良いでしょう。例では、マーケティングの専門家として振る舞うように記載しています。

②下段部分には、ChatGPTにどのように反応してもらいたいかを記載します。例では、マーケティング施策についてメリット、デメリットに分類した上で、表形式で回答して欲しい旨と、精度向上のための考慮条件を記載しています。


ChatGPT Custom instructionsを使用し、マーケティング専門家として振る舞ってもらう例
ChatGPT Custom instructionsを使用し、マーケティング専門家として振る舞ってもらう例

このように設定を行っておくと、Custom instructionsに記載された内容をプロンプトの標準設定として考慮してくれます。以下では、プロンプトで「大企業向けデジタルマーケティング施策として、有効なものを5つ回答してください。」と依頼していますが、Custom instructionsに記載されたターゲットを考慮し、表形式で回答しているのがわかります。

Custom instructionsを考慮した解答例

ChatGPT Custom instructionsの設定方法

Custom instructionsは、2023年7月25日現在、有償ユーザー(ChatGPT Plusユーザ)限定の機能となっていますが、 将来的には無償ユーザにも開放されることが予定されています。2023年8月10日に無償版のChatGPTユーザーも利用可能となりました。設定方法は以下のとおりです。

  1. ChatGPTにログイン後、画面左下のボタンからSettings & Betaを選択します。
  2. Setteings → Beta featuresを選択し、Custom instructionsをオンにします。
  3. すると、 Custom instructionsメニューが表示されます。
Beta featuresのCustom instructionsをオンにすることで、Custom instructionsを使用できる
Beta featuresのCustom instructionsをオンにすることで、Custom instructionsを使用できる
ChatGPTの設定画面。Settings & Beta項目と、Custom instructionsメニューが表示された状態
ChatGPTの設定画面。Settings & Beta項目と、Custom instructionsメニューが表示された状態

ChatGPTの仕組みとMicrosoftのOpenAIに対する巨額投資

ChatGPTは、入力された質問に対して、最も回答可能性の高い文字を返すという仕組みで動作しています。このため、あたかも正確であるような回答を返すことがありますが、内容の妥当性についてはしっかりと精査することが必要となります。2023年1月にMicrosoftがOpenAIへの1.3兆円もの巨額投資を発表すると、Microsoftが保有する検索エンジンであるBingにChatGPTが組み込まれました。ここで採用されているエンジンはGPT-3の後継である、GPT-4であると言われています。2023年2月時点でのChatGPTはWEB上の情報を探索しませんが、BingのGPTチャットボットは①信頼性・権威性のあるWEB上の情報を探索すると共に、②GPTエンジンによる回答自動生成を同時に行い、①と②を組み合わせて回答を返す仕様となりました。これにより情報の正確性が従来のChatGPTと比べて格段に向上しています。

以下は、Microsoft BingのChatGPTに2023年2月時点の総理大臣について、お名前と略歴を教えてくださいと質問してみた際の回答です。詳細情報として、WEBサイトの情報を組み合わせて回答を生成していることがわかります。

Microsoft BingのChatGPTに2023年2月時点の総理大臣について、お名前と略歴を教えてくださいと質問してみた回答です
Microsoft BingのChatGPTに2023年2月時点の総理大臣について、お名前と略歴を教えてくださいと質問

先行するChatGPTを追随するGoogle Bard Google Gemini(ジェミニ)

OpenAIがChatGPTで先行する中、2023年4月にGoogleは独自開発した大規模言語モデル(LLM)の「PaLM」を採用した対話型AI、「Google Bard」を公開しました。また、2023年5月10日には、日本語を含む多言語にも対応したと発表されました。多言語対応と同時に、「PaLM」の後継である「PaLM2」も発表され、「Google Bard」の大規模言語モデルも「PaLM2」に更新されています。「PaLM2」は100以上の言語データを事前学習させた大規模言語モデル(LLM)で、多言語対応の他、数学能力や論理的な思考能力が「PaLM」と比べて大幅に向上しています。以下は「PaLM2」と「GPT-4」など他の大規模言語モデルとの比較ですが、主に数学能力やGSM8K(高品質な言語学的多様性を持つ小学校数学の単語問題)において「PaLM」からの大幅な能力向上が図られていると共に、能力がOpenAIの「GPT-4」と近似する水準にあることがわかります。

「PaLM2」と「GPT-4」など他言語モデルとの数学能力の比較:PaLM 2 Technical Reportより抜粋
「PaLM2」と「GPT-4」など他言語モデルとの数学能力の比較:PaLM 2 Technical Reportより抜粋 

以下は「PaLM2」の多言語理解ですが、中国語言語テスト(HSK)や日本語言語テスト(J-Test)においても、「PaLM」では不合格となっていた言語テストの多くで、「PaLM2」では合格水準に到達していることがわかります。

「PaLM2」の多言語能力:PaLM 2 Technical Reportより抜粋
「PaLM2」の多言語能力:PaLM 2 Technical Reportより抜粋



Google Bardでは、①WEB検索(Google検索)と②大規模言語学習が統合されており、最新の情報を踏まえた回答が得られる点が特徴です。この点は、Microsoft Bingに組み込まれたGPT-4に近い挙動となっています。マーケティングの観点からは、市場調査の初手としての活用も可能です。以下は、Google Bardに2023年の世界の半導体市場についてPEST分析してもらったものです。PEST分析とは、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)技術(Technological)の側面から企業の外部環境を分析する手法を指します。

大規模言語モデル「PaLM」を採用したGoogleBardに、マーケティングリサーチ(PEST分析)を依頼する
大規模言語モデル「PaLM」を採用したGoogleBardに、マーケティングリサーチ(PEST分析)を依頼する

PaLMのパフォーマンスを向上させる「方言」

大規模言語モデル(LLM)の性能を引き出すための研究は日々行われており、2023年9月時点では、LLMごとに性能向上させるための「方言」とも呼べるプロンプトが生まれてきています。2023年9月7日に発表された論文、「Large Language Models as Optimizers」の中で、PaLM2では、「分解してみましょう(Break this down)」や「深呼吸して、この問題に一歩ずつ取り組んでください(Take a deep breath and work on this problem step-by-step)」と伝えると性能が上がることがわかってきました。面白いことに、このプロンプトはPaLM2では機能しましたが、他のモデルや状況で機能するとは限らないということです。

PaLM2では、「深呼吸して、この問題に一歩ずつ取り組んでください」と伝えると性能が向上することが、論文「Large Language Models as Optimizers」で発表された
PaLM2では、「深呼吸して、この問題に一歩ずつ取り組んでください」と伝えると性能が向上する

Google BardはGemini(ジェミニ)に名称変更され、LLMもGeminiに更新

2024年2月8日に、Google BardはGoogle Geminiに名称変更され、同時にLLMもParm2からGeminiに更新されました。有料版のGemini Advancedを契約すると、Google の最も高性能な AI モデルである「Gemini Ultra 1.0」を利用できます。2024年2月時点でGemini Advancedは月額2,900円で利用できます。「Gemini Ultra 1.0」は、多くのベンチマークテストでGPT-4と同水準か上回る性能を示しているとされています。ただし、2024年2月17日時点で、「Gemini Ultra1.0」は英語でのみ提供・最適化されており、日本語でも扱えますがベンチマークほど性能が出ない点には注意が必要です。

Google GeminiとGPT-4など他LLMとの性能比較
出所:Gemini Report
Google GeminiとGPT-4など他LLMとの性能比較
出所:Gemini Report

ChatGPTなどの生成AIの能力を引き出す「プロンプトエンジニアリング」

ChatGPTなど生成系AIの能力を最大限に引き出すには、AIにどのような指示を与えられるかが大切となります。この指示のことを「プロンプト(prompt)」と呼び、AIの思考を人間が助ける技術を「プロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering)」と呼びます。マーケティングコンテンツの生成過程で、ChatGPTなど生成系AIを活用する場面においても、このプロンプトエンジニアリングが重要であることは言うまでもありません。ここでは2022年に発表された論文「Chain-of-Thought Prompting Elicits Reasoning in Large Language Models」を参照し、そこで紹介されている代表的なプロンプトエンジニアリングの手法を中心に、追加研究も踏まえた形でご紹介します。

Few-shot prompting(例示プロンプト)

プロンプト内に例を提供して、AIの精度を高める手法です。いくつかの例(Few-shot)を提供するだけで、AIに課題を実行する方法を学習させることができます。以下ではレストランの属性を料理、設備、人間について分類する例を与え、料理長がどの分類になるかをChatGPTに聞いています。

Few-shot promptingの例
Few-shot promptingの例

Zero-Shot prompting(例示なしプロンプト)

プロンプトに例を与えず、大規模学習の結果から結論を導く方法をZero-Shot promptingと言います。以下では、例を示さずに、与えられる文章を中立、否定的、肯定的に分類するように指示し、「今日はいい天気で気分が良かった」という文章を分類させています。

Zero-Shot prompting(例示なしプロンプト)の例
Zero-Shot prompting(例示なしプロンプト)の例

Chain-of-thought prompting(連鎖的思考プロンプト)

Chain-of-thought promptingとは連鎖的思考指示とも呼ばれ、ChatGPTなどの生成系AIに連鎖的思考を促す指示を与えることで、回答精度を向上させることができます。例として、以下のような計算を行うように指示をします。

通常プロンプトの例

Q: あなたはゴルフボールを8個持っています。あなたはさらにゴルフボールを2パック購入します。
1パックにゴルフボールが3個入っています。あなたは今ゴルフボールを持っていますか。

A:答えは14個です。

Q:あなたは青果物店を営んでいます。店先には45個のリンゴがありました。彼らは顧客に20個のリンゴを販売しました。さらに追加でリンゴを14個仕入れました。あなたはリンゴをいくつ持っていますか?

通常プロンプトでは、ゴルフボールの計算結果のみを提示し、リンゴの計算指示を与えています。通常のプロンプトはこのようになりますが、連鎖的思考プロンプトでは、以下のような連鎖思考を促す指示を与えます。

連鎖的思考プロンプトの例

Q: あなたはゴルフボールを8個持っています。あなたはさらにゴルフボールを2パック購入します。
1パックにゴルフボールが3個入っています。あなたは今ゴルフボールを持っていますか。

A:あなたはゴルフボールを8個持っていました。
ゴルフボールは3個入りで2パック購入したので6個分です。
8+6=14個です。答えは14個です。

Q:あなたは青果物店を営んでいます。店先には45個のリンゴがありました。彼らは顧客に20個のリンゴを販売しました。さらに追加でリンゴを14個仕入れました。あなたはリンゴをいくつ持っていますか?

連鎖的思考プロンプトでは、ゴルフボールの計算結果のみを示すのではなく、どのようにゴルフボールを計算するのか、計算過程を与えています。計算過程を与えることで、ChatGPTなどの生成系AIが計算過程を踏襲した回答を行えるようになります。実際のChatGPTへのプロンプトと回答は以下のようになります。

連鎖的思考プロンプト(Chain-of-thought prompting)による計算指示とChatGPTの回答例
連鎖的思考プロンプト(Chain-of-thought prompting)による計算指示とChatGPTの回答例

このように連鎖的思考プロンプトを活用すると、AIの回答精度を高めることができるようになります。

Zero-Shot CoT prompting(例示なし連鎖的思考プロンプト)

例示を示さず、連鎖思考を促すことで精度を向上させる手法をZero-Shot CoT promptingといいます。これは、「ステップバイステップで考えて」、「構造的に考えて」、「論理的に考えて」などと指示を出すだけでAIの回答精度を向上させることができます。例示が少ない場合などに特に有効です。反面、「非論理的な質問」「抽象的な質問」には効果が乏しいこともわかっています。「ステップバイステップで考えて」という指示は、本記事のマーケティング案を導くためのプロンプトでも多く紹介しました。

Zero-Shot CoTは大変優秀ですが、更に回答精度をあげるためには、プロンプトチューニングが有効になる場合があります。一例を示します。

Zero-Shot CoTのプロンプトチューニングの例

第一に、なぜXが正しいかについてステップバイステップで考えます。第二に、なぜYが正しいかについて、ステップバイステップで考えます。第三に、XとYのどちらがより論理的に正しいか、ステップバイステップで考えます。

このようにすることで、複数の案からより論理的に正しい回答を得られる可能性が高くなります。

また、Automatic Prompt Engineer (APE)という、AIが最適なプロンプトを生成するアプローチにより、人間が開発したZero-Shot CoTよりも、高精度となるZero-Shot CoTも発見されています。それは、

「正確な答えを得るために、ステップバイステップで確かめていきましょう。(Let’s work this out in a step by step way to be sure we have the right answer)」というプロンプトで、こちらは単に「ステップバイステップで考えて」と問いかけるよりも高精度になることが分かっています。

Automatic Prompt Engineer (APE)が発見した高精度のZero-Shot CoT 「正確な答えを得るために、ステップバイステップで確かめていきましょう。: 出所:Large Language Models Are Human-Level Prompt Engineers
Automatic Prompt Engineer (APE)が発見した高精度のZero-Shot CoT : 出所:Large Language Models Are Human-Level Prompt Engineers

Zero-Shot CoTの論理的な整合性をチェックするLogiCoT

Zero-Shot CoTの論理的な整合性をチェックするLogiCoT(Logical Reasoning Chain-of-thought )という手法も発見されています。LogiCoTは、think-verify-revise(考える-検証する-修正する)という手法を用いて、ChatGPTの生成した回答について論理的整合性を確保するアプローチです。この検証の段階で、反対となる見解(contrapositive)を用いる点に特徴があります。以下は検索連動型広告の効果を検証する際に、LogiCoTを用いて回答の論理性を確認します。

LogiCoT(Logical Reasoning Chain-of-thought )のプロンプトの例

### AIの役割
あなたはマーケティングの専門家です。
検索連動型広告の効果を検証してください。

### Think(考える)
検索連動型広告の主な効果や利点は何でしょうか?

### Verify(contrapositiveを用いて検証する)
検索連動型広告の効果が高いとされる根拠やデータは何でしょうか?
必要に応じてWEBを調査します。

### Revise(修正する)
提供されたデータや根拠をもとに、検索連動型広告の効果についての詳細な分析や考察を教えてください。

LogiCoT(Logical Reasoning Chain-of-thought )を用い、検索連動型広告の効果を検証する
LogiCoT(Logical Reasoning Chain-of-thought )を用い、検索連動型広告の効果を検証する

多段階の推論性能を向上させるStep Back prompting (ステップバック・プロンプティング)

多段階推論では、ChatGPTなどの大規模言語モデルが推論の過程で誤ってしまうと、以降の回答も誤りを引きずってしまいます。上記のChain-of-thought promptingやZero-Shot CoTなどの手法はこの多段階推論性能を高める手法ですが、Google DeepMindの研究者らが2023年10月に発表した論文で、従来のChain-of-thought promptingやZero-Shot CoT性能を上回る方法が発見されています。それがステップバック・プロンプティングです。大規模言語モデルに、本当に聞きたいことの1つ前にステップバックした推論をさせることがポイントです。

Step Back promptingのプロンプトの例

### ステップバック
〇〇において、▲▲に影響を与える要素はなんですか?
例:リスティング広告において、コンバージョンレートに影響を与える要素は何ですか?

ChatGPTの回答:XXX

### 本当に聞きたいことの確認
その内容を十分に考慮に入れて、▲▲を向上させる効果的な方法は何ですか。
例:その内容を十分に考慮に入れて、コンバージョンレートを向上させる最も効果的な方法は何ですか?

具体的に、リスティング広告において、コンバージョンレートに影響を与える要素について、Step Back Promptingで確認すると以下のようになりました。

リスティング広告において、コンバージョンレートに影響を与える要素について、Step Back Promptingによる前提推論
Step Back Promptingによる前提推論
リスティング広告において、コンバージョンレートに影響を与える要素について、Step Back Promptingによる最終回答
Step Back Promptingによる最終回答

最初の回答で重要な要素が抽出されていますが、その内容を踏まえた回答とすることでさらに精度が向上していることが確認できます。

Step Back Promptingは、GPT-4やPaLM2をそのまま利用した際や、Chain-of-thought prompting(CoT)で回答を得た手法よりも、各テーマでの回答性能が7%~27%程度向上していることがわかります。

Recursively Criticizes and improves prompting (RCI:再帰的改善プロンプト) 

Recursively Criticizes and improves prompting(RCI)は、ChatGPTなどAI自身に自身の回答結果を検証させ、必要に応じて修正を加えさせる手法です。理論的には、RCIを繰り返し実行させていくことで、AIが自律的に正解にたどり着く可能性が高くなります。今後、ChatGPTのような大規模言語モデルの性能が更に向上するにつれ、より有効性の高まるプロンプトであるといえます。マーケティングの現場でも、市場調査の裏取りや環境分析の妥当性検証など戦略面での活用や、様々なマーケティングシナリオの仮説検証シミュレーションなどでも応用が効くと考えられます。ここではサンプルとして、GPTに数学の問題の解いてもらいRCIで検証、必要に応じて修正するプロンプトです。「回答が正しいか検証するステップを設け、検証の結果に基づき回答を修正してください。検証と修正を3回繰り返すことができます。」と指示をしている箇所がRCIです。

Recursively Criticizes and improves prompting (RCI:再帰的改善)のプロンプトの例

##AIの役割
あなたは数学者です。

##RCI
以下の質問に答えてください。
回答が正しいか検証するステップを設け、検証の結果に基づき、回答を修正してください。
検証と修正を3回繰り返すことができます。

##質問
これから、あるクラスの中に少女を集める。
クラスの中に、同じ誕生日の少女が2人(以上)いる確率を50%以上にしたい。
何人の少女を集めればいいだろうか?

Recursively Criticizes and improves prompting (RCI:再帰的改善) 指示を与える
Recursively Criticizes and improves prompting (RCI:再帰的改善) により、回答を得る
Recursively Criticizes and improves prompting (RCI:再帰的改善) により、回答を得る

タスクに応じて、適切な推論プロセスを自ら考えるSelf Discoverプロンプト

Self Discoverプロンプトは、論理問題などの推論・計算タスクに応じて、適切な推論プロセスをChatGPTなど大規模言語モデルが自ら選択して考える手法です。2024年2月にGoogleDeepmindの研究者らによって開発されました。Self Discoverプロンプトが発表された論文によれば、従来のChain-of-thoughtなどの手法より性能が最大42%向上しているとのことです。

Self Discoverプロンプトによる性能調査
出所:SELF-DISCOVER: Large Language Models Self-Compose Reasoning Structures
Self Discoverプロンプトによる性能調査
出所:SELF-DISCOVER: Large Language Models Self-Compose Reasoning Structures
図表の項目解説
  • BBH:Big Bench-Hard:言語モデルにとって高難度タスクを集めたBIG-Benchの中で、特に困難な23タスクからなるベンチマーク
  • T4D:Thinking for Doing :社会的シナリオにおいて、他者の心的状態に関する推論を行動に結びつけるベンチマーク
  • MATH:数学的推論ベンチマーク
  • PaLM2:Googleが開発した大規模言語モデル
  • GPT-4:OpenAIが開発した大規模言語モデル
  • CoT:連鎖的試行プロンプト(Chain-of-thought prompting)※この表では、ZeroShot-CoTを指している
  • PS:(Plan-and-Solve Prompting)処理を小さく分割する計画を立てた後に、処理を実行し答えを導き出す手法
  • Self-Discover:本項で解説している手法


具体的には以下のように記述します。

Self Discoverプロンプト

###問題の提示

~任意の問題を提示します。~

###Self Discoverプロンプト

この問題は、〇〇問題に関連しています。

推論を開始するために、まずは問題を詳細に理解します。
その上で、解決に向けて必要なステップを特定してください。

考えられる推論モジュールを複数あげてください。
それぞれがこの問題解決にどのように有効かを検討します。

推論構造に基づいて、ステップバイステップで問題を解決してください。
ステップごとに、具体的なアクションや考え方を明示してください。

ステップを実行し得られた、最終的な推論と解答を生成してください。

例えば、与えられた情報から身長の高い順に並べるような推論タスクをSelf Discoverプロンプトを用いて解くと以下のようになりました。ChatGPTが導いた解答は正解しています。

Self Discoverプロンプトを用いた論理問題と解答
Self Discoverプロンプトを用いた論理問題と解答
Self Discoverプロンプトを用いた論理問題と解答例:正解している

プロンプトを活用し、ある程度の事実確認(ファクトチェック)を行う

「幻覚」(Hallucination)をできるだけ避ける

先に触れたように、大規模言語モデルが事実では無い回答を行ってしまう「幻覚」をできるだけ避けるために、WEBに接続できる大規模言語モデルであるGoogle BardやMicrosoft BingChat、ChatGPT Web Browsingの機能を利用し、ある程度のファクトチェックを行うことができます。具体的には以下のような記述をプロンプトに加えます。

プロンプトを活用し、ある程度の事実確認(ファクトチェック)を行う

###ファクトチェック
あなたの回答の根拠となった事実のリストを教えてください。
正確な回答を得るため、ステップバイステップで回答してください。


###何らかの根拠となる論文や文献がある場合
また、以下の事実に基づいて答えてください。
1.論文A
2.文献B

回答内で各事実を使うときは、対応する番号を参照してラベルを付けてください。

以下は、GPT-4が搭載されているMicrosoft BingChatを使用し、「2023年7月18日時点で日本の衆議院に所属する会派名と会派別所属議員数」を調査した上で、ファクトチェックを行うように指示をした結果です。

MicrosoftのBingChatを使用し、ファクトチェックを実施した回答を得る
MicrosoftのBingChatを使用し、ファクトチェックを実施した回答を得る

検証として、実際の衆議院のサイトの確認結果は以下のようになっています。

MicrosoftのBingChatを使用し、ファクトチェックを行った検証例
ファクトチェックの検証例。正確な回答が得られていることが分かる

検証の連鎖(Chain-of-Verification:CoVe)も「幻覚」の抑制には有効

検証の連鎖(Chain-of-Verification)という手法を用いて、ChatGPTなどの大規模言語モデルの「幻覚」を抑制することができます。大規模言語モデルに対して強制的にCoTを促し、回答を是正させます。具体的には以下のようにします。

検証の連鎖(Chain-of-Verification)による「幻覚」の抑制
  1. 初回回答案を生成させる
  2. 事実確認のための検証質問を計画させる
  3. 他の回答によるバイアスを避けるため、独自に質問に答えさせる
  4. 両者を検証し、検証済の最終回答を生成させる

例では、2015年1月1日時点での日本の総理大臣を回答させています。2015年1月1日時点での日本の総理大臣は、故、安倍晋三首相でした。Chain-of-Verificationによって初回の回答を検証、確認しています。

検証の連鎖(Chain-of-Verification)による「幻覚」の抑制
検証の連鎖(Chain-of-Verification)による「幻覚」の抑制

メリット・デメリットを理解してAIを活用しましょう

AIの進化によって、マーケティング作業が効率的に進められることは、マーケティングの専任者などが配置できない組織やチームにとっても素晴らしいことだと思います。現状では回答内容の面では基本的な知識が返されるケースも多く、その道の専門家から見ると物足りなさが残る部分もあります。ですが、時間の経過とともに回答精度や回答品質が高まってくるでしょう。こういった新しい道具には早い段階で触れておき、特徴や癖のようなものを理解できると生産性が高まります。現時点でのAI活用のメリットデメリットを理解した上で、上手に活用していきたいですね。

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この記事を書いた人

アーチ経営サポート代表 
デジタル拡販アドバイザー / 中小企業診断士 鈴木 將路

IT業界で20年以上、統合基幹業務ソフトウェア事業(ERP事業)に関与。マーケティング責任者、自ら企画したSaaS事業の事業責任者などを担当。ソフトウェア事業開発、新規事業立ち上げ、BtoBマーケティングで20年超の経験を持つ。

現在、成長企業向けに、デジタルマーケティング支援やマーケティング研修、補助金活用サービスなどを展開中。企業経営者と目線を合わせた、きめ細やかなサービスを提供している。中小企業庁認定 経営革新等支援機関。Certified in the Prompt Engineering for ChatGPT Course at Vanderbilt University.

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