有望な見込み顧客を逃さない、指名検索のSERP最適化戦術とは

有望な見込み顧客を逃さない、指名検索のSERP最適化戦術とは

自社の商品やサービスを既に知っていて、かつ、ニーズが顕在化している見込み顧客は、直接企業名や商品・サービス名を検索する「指名検索」を行います。指名検索は顧客の購買意欲が高い状態で行われることが多く、その検索結果ページ(SERP:SearchEngine Result Pages)にはその後の成果を左右する要素が詰まっています。このため、検索結果ページに対する最適化戦術が必要となります。本記事では、指名検索のSERP最適化の重要性や具体的な対策方法について解説します。

目次

指名検索とは何か

指名検索とは、顧客が特定の企業名や商品・サービス名を検索エンジンに直接入力して、自分が探している具体的なページを見つけ出そうとする行為のことを指します。指名検索は、顧客がすでにある程度具体的な意向を持っている状態で行われるため、WEBサイトにとっては有望な見込客である可能性が高いと考えられます。

指名検索を行う顧客は、すでにある商品やサービスに対する興味関心度合いが高まっている状態にあることが多く、その後の受注成約率の高い訪問者であると期待できます。たとえば、新しいスマートフォンを探している人が「〇〇スマホ」と具体的な機種名を検索するのは、単にスマートフォンの情報を仕入れている段階というよりは、すでに製品の比較検討が進んでいる状態だといえます。


指名検索における、検索結果ページ(SERP)の重要性

指名検索の検索結果画面(SERP)は、有望な見込み顧客の商品やサービスへの理解や、最終的なコンバージョンの獲得に大きな影響を与える重要なページです。指名検索では、見込み顧客が企業名や商品・サービスの具体的な名前を検索キーワードに含めているため、指名検索の検索結果画面(SERP)で自社サイトが上位にランクインできれば、すでに購入意向の高い見込み顧客を円滑に自社のサイトや商品ページへ誘導することができます。加えて、指名検索からの訪問者は、目的意識が高く、WEBサイト上でのコンバージョンへつながる行動に入りやすいため、コンバージョン率(CVR)が通常の自然検索(オーガニック検索)よりも高くなります。

このため、企業としては指名検索の検索結果画面(SERP)で上位に表示されることを強く意識し、自社の商品・サービスへの誘導を逃さない必要があります。優れた指名検索対策が、潜在顧客の商品理解や検討プロセスの短縮化をもたらし、最終的なコンバージョン獲得に貢献します。

指名検索の検索結果でよくある問題

このように重要な指名検索ですが、以下のような問題がよくあります。

競合製品や無関係の製品のリスティング広告が掲載されてしまう

指名検索時に、競合製品や無関係の製品のリスティング広告が掲載されてしまうことがあります。

この原因には、

  • 広告媒体の自動マッチング機能が、関連性のあると判断したキーワードに広告を表示しているケース
  • 競合他社が意図的に貴社のブランドや製品名をキーワードに設定して広告を出稿しているケース

などが考えられます。

このような広告が表示されると、顕在層を自社商品やサービスへ誘導できないばかりか、ブランドの信頼性や認知度が下がる可能性があったり、入札競争によるクリック単価の上昇などにより広告費用が増加する場合があります。

自社の商品・サービスと無関係の情報が表示されてしまう

指名検索時に、企業名や自社の商品・サービスと無関係の情報が表示されてしまうことがあります。これにはいくつかの理由があります。

無関係の情報が表示されるケース理由
商品名やサービス名が一般的な固有名詞と同じ場合他の関連性の高い情報に埋もれてしまい、検索結果で優先されない可能性がある
Web上での認知度が低すぎる場合企業や商品・サービスのWeb上での認知度が低すぎると、Googleなどの検索エンジンによる評価が不十分で、検索結果に適切に反映されないことがある
指名検索時に、企業名や自社の商品・サービスと無関係の情報が表示されてしまう代表的な理由

指名検索において自社の商品・サービスと無関係の情報が表示される場合、大切な見込み顧客を失ったり、顧客の他社への流出やブランドの信頼性低下など、複数のデメリットが生じます。

自社の商品・サービスに批判的な記事などが表示されてしまう

Googleなどの検索エンジンは、数百ともいわれる指標を用いてユーザにとって有益な情報を提供することを目的としています。Googleが重要視している指標である、E-E-A-T(Experience:経験 / Expertise:専門性 / Authoritativeness:権威性 / Trust:信頼性の頭文字)がしっかりと含まれているかどうかや、ページの質、関連性などを評価してランキングしています。この仕組みでは検索結果の多様性とユーザーの関心が反映されることになります。また、自社の商品・サービスに批判的な記事を掲載しているWEBサイトがキーワード選定、顧客ニーズに応えるコンテンツの作成、インデックス登録などの適切なSEO対策を行っている場合、批判的な記事が検索結果の上位に表示される可能性があります。指名検索において自社の商品・サービスに批判的な記事が表示されている場合、大切な見込み顧客を失うなどの多くのデメリットが生じます。

指名検索のSERP最適化のポイント

このように、検索結果画面(SERP)を最適化することは、有望な見込み顧客を逃さないためには極めて重要な対策であるといえます。最適化を行うには以下のようなポイントがあります。

リスティング広告(検索連動型広告)を出稿する

自社名や商品・サービス名で、リスティング広告(検索連動型広告)を出稿します。自社の名前や商品・サービス名で広告を入れることで、自社名や商品・サービスでの検索時に上位表示されることとなり、顕在層の指名検索時に効果を発揮します。

検索結果に他社の広告が表示される時には、掲載を止めてもらえないか依頼する

自社名や自社の商品・サービス名を検索した際には、他社の広告が表示されてしまう場合、相手側が意図していなければ丁寧に依頼を行うことで広告掲載を停止してくれることがあります。注意が必要なのは、競合他社の商品名などに対して広告を出稿し、自社のWEBサイトに誘導しようという行為自体は、適切であるかの判断は難しいところですが、違法ではありません。あくまでもお願いするという姿勢で対応依頼を行うと良いでしょう。依頼をする際には、相手方の商品・サービス名についても対応を行うように記載するとより丁寧です。掲載停止依頼は以下のようなメールで連絡をすることが多いです。

掲載停止依頼のメールサンプル

タイトル:
検索広告に関するお願い:検索広告キーワード除外について

本文:

広告ご担当者様

突然のご連絡失礼いたします。
私は、〇〇〇〇株式会社でプロモーションを担当している〇〇と申します。

弊社の提供サービスである【サービス名】につきまして、商標登録をしております。

現在、Googleにおいて【サービス名】を検索時に、貴社のリスティング広告が表示されております。

恐らく、キーワードのフレーズ一致や部分一致で表示されてしまっているかと存じますが、
検索サイトにて、貴社広告が表示されないよう、除外キーワード設定をご検討頂けないでしょうか。

●ご検討いただきたい、除外設定および除外キーワード

除外設定
・Google検索広告アカウント全体で、フレーズ一致での除外設定

除外キーワード
・【〇〇〇〇:サービス名】

また、貴社商標につきましても、必要がありましたら弊社側で除外キーワードの設定をさせて頂きますので、
ご要望のキーワードがございましたらお申し付けください。

よろしくお願いいたします。

サイト内のコンテンツ最適化を行う

自社のWEBサイト内のコンテンツを最適化することで、指名検索からの流入を増やすことができます。具体的には、対象となる企業名や商品・サービス名をコンテンツ内に適切に配置したり、関連するキーワードを活用することが重要です。

コンテンツ最適化は以下のような手順で行います。

  • 対象キーワードの調査を行う。企業名、商品名、サービス名などの重要なキーワードを特定します。また、商品やサービスに関連するキーワードをあわせて含めると効果的です。
  • コンテンツの品質とキーワード関連性の強化を行う。高品質で、ユーザーに価値を提供するコンテンツを作成します。その際に対象となるキーワードを自然に組み込みつつ、有益な情報や専門知識を組み合わせたコンテンツとします。

メタデータの最適化を行う

メタデータとは、検索エンジンやブラウザにWEBサイトの情報を伝えるhtmlタグのことを指します。検索エンジンがページを評価する際に重要な要素の1つです。タイトルタグやメタデスクリプションを適切に最適化し、指名検索に対応するキーワードを含めることで、SERPでの表示を改善することができます。

具体的には以下のように行います。

  • タイトルタグをわかりやすくすると共に、対象のキーワードを含むようにします。25から30文字程度が適切です。
  • メタデスクリプションを80から160文字程度で記述します。この際に対象となるキーワードを含め、検索エンジンにサイトの内容を正確に伝えるようにします。
  • サイトのURLをできるだけシンプルにしつつ、対象のキーワードを含むようにします。

スキーママークアップを活用する

スキーママークアップとは、検索エンジンがWEBサイト上のコンテンツを理解するのに役立つ構造化データの一種です。構造化データを使用してページの意図を伝えると、検索エンジンがそのページをより正確に理解できるようになります。Googleがサンプルで提供しているスキーママークアップの例は以下のようなものです。

@context:URLを指定
@type:サイトの属性を指定
@name:サイトの名前を指定
@author:著者と名前を指定
@dataPublished:コンテンツの公開日を指定
@description:記事の概要を指定
@prepTime:※サンプルは料理レシピサイトのため、調理にかかる時間を指定

スキーママークアップの例:出所:Google検索セントラル
スキーママークアップの例:出所:Google検索セントラル

スキーママークアップを指定すると、以下のように動画や説明付きで検索結果に表示できるようになります。これは、リッチリザルト(リッチスニペット)と呼ばれます。

スキーママークアップを活用したリッチリザルトの例:出所:Google検索セントラル
スキーママークアップを活用したリッチリザルトの例:出所:Google検索セントラル

他サイトとの関係性を構築する

他のウェブサイトやブログなどとのリンクを活用し、自社のウェブサイトの信頼性や権威性を高めることが大切です。リンクの質や量、相互リンクの活用などを考慮しながら、関係性の構築を行いましょう。

口コミサイトや比較サイトなどのレビューや評価を活用する

顧客の口コミや評価は、指名検索においても重要な要素となります。定期的に口コミサイトや比較サイトへの情報提供や、可能な限り批判的なコメントの管理・対処を行い、良い評価やコメントを活用するようにします。

SNSを活用する

SNSは、指名検索のSERP最適化においても重要な役割を果たします。自社のWEBサイトやコンテンツをSNS上で積極的に共有することで、拡散効果に加えて共有やリンクを獲得する効果も期待できます。

実店舗のビジネスでは、ローカルSEOを意識する

ローカルSEOとは、特定の地域内で事業を行う企業や実店舗が、その地域での検索結果でより上位に表示されるようにするための取り組みです。特定の地域での指名検索を最適化することで、地域名や店舗情報を正確に表示することで、地域の顧客からの来店などのアクセスを増やすことができます。

定期調査と改善を行う。

指名検索のSERP最適化は、定期調査と改善を繰り返すことが必要です。検索結果を定期的に確認し、狙いと異なる状況が生じていれば、本記事の内容などを踏まえて改善を加えていきましょう。

有望な見込み顧客を逃さないため、指名検索のSERP最適化に取り組みましょう

指名検索のSERP最適化は、自社や自社の商品・サービスに興味を示している有望な見込み顧客が行っています。サイト内のコンテンツ最適化やメタデータの最適化など、様々なポイントを考慮しながら対策を進めていきましょう。指名検索からの流入を増やし、成果を最大化するために、指名検索のSERP最適化に取り組んでいきましょう。

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この記事を書いた人

アーチ経営サポート代表 
デジタル拡販アドバイザー / 中小企業診断士 鈴木 將路

IT業界で20年以上、統合基幹業務ソフトウェア事業(ERP事業)に関与。マーケティング責任者、自ら企画したSaaS事業の事業責任者などを担当。ソフトウェア事業開発、新規事業立ち上げ、BtoBマーケティングで20年超の経験を持つ。

現在、成長企業向けに、デジタルマーケティング支援やマーケティング研修、補助金活用サービスなどを展開中。企業経営者と目線を合わせた、きめ細やかなサービスを提供している。中小企業庁認定 経営革新等支援機関。Certified in the Prompt Engineering for ChatGPT Course at Vanderbilt University.

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