
企業内で増加するカスタマーサクセス部門
カスタマーサクセスという言葉を耳にする機会が増えました。SaaS事業者やサブスクリプション事業者に留まらず、一般の事業会社でも取り入れる組織が増えています。
似たような言葉でカスタマーサポートというものがありますが、これらの取り組み、いったい何が違うのでしょうか。
「カスタマーサクセス」とは、顧客の成功体験の獲得を支援すること
「カスタマーサクセス」とは「顧客の成功体験の獲得を支援すること」を指します。
顧客が成功している、とはどのような状態でしょうか。それは、顧客が自社の商品・サービスを利用することで、達成したい課題を解決できている状態を指しています。
もともと「カスタマーサクセス」という概念を提唱したのは、SaaS事業者の雄、セールスフォースドットコムの創業者、マーク・ベニオフ(Marc Benioff)です。
SaaS事業の売上は、いわゆる新聞の定期購読などと同様にサブスクリプション形式で課金され、毎月継続的な売上が立つものが多いです。従い、一旦サービスの契約をした顧客が満足できなければ、すぐに解約されてしまうことになります。
それまで売り切りが中心であったソフトウェア業界の中で、いち早くSaaS事業に取り組んだのがセールスフォースドットコムです。折角獲得した顧客に離脱されないためにどうすればよいか?彼らならではの課題感があったのでしょう。

「カスタマーサクセス」と「カスタマーサポート」の違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いをまとめると、以下のような形になります。

このように、カスタマーサクセスでは主体的・能動的に顧客へ商品・サービスを使いこなしてもらう活動を行うことになります。また、カスタマーサクセスは継続的な関係性構築が重要な点も見逃せません。
また、カスタマーサクセスを実施していく際に、カスタマーサポートが不要になるということではありません。両者には役割に明確な違いがあるため、両者の活動を連携させながら、バランスを取り両立させることが大切です。
事業者の選択権が顧客側にシフトしていることを忘れない
従来型のカスタマーサポートを運営している事業者側からすれば、カスタマーサクセスの機能を持たせることで、コスト増につながるように見えるかもしれません。現実的にコスト増につながっているケースも多く見られます。しかし今日では、商品・サービスを使いこなせない顧客は、クレームを口にすること無く、容易に他社への切り替えを行ってしまいます。SaaSなどのソフトウェアサービスの場合、契約後にサービスを使いはじめてもらうことをオンボーディング(on boarding:乗船している)と呼びます。顧客の状況を踏まえた調整(アジャスト)を行いながら、「契約→オンボーディング→定着化→利活用」のプロセスを確実に支援していき、顧客満足を獲得していくことがカスタマーサクセスの本質であり、事業者・顧客の双方がWin-Winとなれる道となっています。
カスタマーサクセスは顧客との長期的な関係性構築に役立つ
カスタマーサクセスが機能していくと、顧客からの高い満足度獲得やファン化に繋がり、長期的に商品・サービスを利用してもらいやすくなります。このカスタマーサクセス活動と相性が良いのは、SaaSなどのサブスクリプションビジネスです。反対に、商品・サービスを売り切ってしまうビジネスにおいては、従来型のカスタマーサポートを機能させていくことが大切になるでしょう。
アーチ経営サポートでは、サブスクリプション事業進出のサポートを行っております。カスタマーサクセスチームを構築し運用していく際に、どのような点に留意しなければならないのか。ご不明な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。