オンライン型プッシュ営業手法の登場
企業の営業活動もデジタル化の波に乗り、大きく変化しています。従来の訪問営業や電話営業に加え、Webサイトを活用したオンライン営業が主流となりつつあります。その中でも、フォーム営業は、効率性と効果の高さから、多くの企業で導入が進んでいる手法です。
フォーム営業とは、企業のWebサイトに設置された問い合わせフォームから、見込み顧客にアプローチする営業手法です。この手法は、従来の営業手法と比べて、低コストで多くの見込み顧客にアプローチできるという点で大きなメリットがあります。例えば、ある企業ではフォーム営業を導入した結果、約3ヶ月で新規顧客獲得数が2倍に増加したという事例もあります。
本記事では、フォーム営業の基礎からメリット、デメリット、実際の進め方まで網羅的に解説いたします。フォーム営業で成果を上げるためのポイントを確認いただき、新規顧客獲得へと繋げていただければ幸いです。
フォーム営業とは?
フォーム営業とは、企業のWebサイトに設置されている問い合わせフォームを利用して、見込み顧客に営業活動を行う手法です。従来の営業手法と比較して、低コストで効率的に新規顧客にアプローチできる点が大きな特徴です。
具体的には、企業のWebサイトに設置された「お問い合わせ」「資料請求」「無料相談」「デモ依頼」といったフォームから、自社のアピールとなる要素を送信して担当者に情報を届けていきます。
主なフォームの種類とフォーム営業に適したフォームをご紹介します。
- 総合窓口
企業への一般的な問い合わせに対応するフォームです。顧客からの質問や要望、意見などを幅広く受け付けることができます。一般的なフォーム営業でよく利用されます。 - 製品・サービスに関する問い合わせ窓口
特定の製品やサービスに関する問い合わせに対応するフォームです。顧客が抱える疑問や問題を解決するためのサポートを提供することができます。こちらも、フォーム営業でよく利用されます。 - 顧客向けのサポート窓口
既存顧客からの問い合わせに対応するフォームです。製品やサービスの使用方法に関する質問や、トラブル発生時のサポートなどを提供することができます。このフォームは既存顧客のサポートに利用されているため、フォーム営業用途としては、利用を避けた方が良いでしょう。 - 注文窓口
製品やサービスの注文を受け付けるフォームです。顧客は、フォームから必要事項を入力することで、簡単に注文することができます。このフォームは営業窓口に利用されているため、フォーム営業用途としては、利用を避けた方が良いでしょう。
フォーム営業のメリット・デメリット
フォーム営業には、多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。以下に詳しく解説します。
フォーム営業のメリット
- 低コストで実施できる
従来の訪問営業や電話営業と比較して、移動費や人件費などのコストを大幅に削減できます。 - 効率的に新規顧客にアプローチできる
多数の企業に一斉にアプローチできるため、効率的に新規顧客を開拓できます。 - 時間や場所を選ばずに営業活動を行える
インターネット環境があれば、いつでもどこでも営業活動を行えます。 - 顧客との接点を増やすことができる
フォームを通じて顧客との接点を増やし、関係性を構築することができます。 - 決裁権者と繋がる可能性がある
問い合わせフォームは、企業のWebサイトに設置されているため、担当者だけでなく、決裁権者も閲覧する可能性があります 。そのため、フォーム営業を通じて、決裁権者に直接アプローチできる可能性が高まります。例えば、ある企業では、フォーム営業で送信した内容が、経営層やサービスの検討層の目に止まり、大型契約に繋がったという事例もあります。
フォーム営業のデメリット
フォーム営業にはデメリットも存在します。フォーム営業のような営業アプローチは、通常プッシュ型と呼ばれます。プッシュ型のアプローチは、電話営業やDMなどもありますが、興味の無い相手にとっては基本的に好ましく思われません。見込顧客にとって有益で、意味のある情報を送るようにしましょう。
- キーマンにアプローチできるかは未知数
フォームから送信された情報は、必ずしもキーマンに届くとは限りません 。 - 反応率が低い
他のプッシュ型施策と同様、すべての問い合わせに対して返信が得られることはありません。 - スパムと認識される可能性がある
顧客のニーズに合致しない内容を送信すると、スパムと認識される可能性があります。 - クレームに繋がる可能性がある
顧客が意図しない、または希望しない営業活動を行うと、クレームに繋がる可能性があります 。 - 効果測定が難しい
フォーム営業の効果を正確に測定することが難しい場合があります。
フォーム営業の進め方
フォーム営業を成功させるためには、適切なプロセスで進めることが重要です。ここでは、フォーム営業のプロセスを各段階における具体的な行動指針と注意点を解説します。
- 目標設定
フォーム営業で何を達成したいのか、具体的な目標を設定します 。
例:新規顧客獲得数、資料請求数、セミナー誘客数、問い合わせ件数など。 - ターゲット選定
どのような顧客にアプローチしたいのか、ターゲットを明確化します。属性、ニーズ、行動、興味関心など、様々な要素を考慮してターゲティングを行います。 - フォームリスト作成
ターゲットとする顧客のフォームリストを作成します 。Webサイトから手動で収集する方法や、ツールを利用して自動で収集する方法があります。 - フォーム内容の確認
ターゲットとする企業の問い合わせフォームの内容を確認します。入力項目、必須項目、文字数制限などを把握しておくことが大切です。 - 送信内容の作成
顧客のニーズに合わせた送信内容を作成します 。自社の製品やサービスのメリットをいきなり売り込むのではなく、まずは関係性の構築から始めることが重要です。 - 送信:
フォームを送信します。送信する時間帯や曜日なども考慮することで、返信率を高めることができます。 - 返信対応
返信があった場合は、内容を丁寧に確認します。顧客からの質問に答えたり、要望に応えたりするなど、適切な返信対応を行います。 - 効果測定
フォーム営業の効果を測定します。返信率、成約率などを分析することで、改善点を見つけることができます。 - 改善
効果測定の結果を基に、フォームの送信内容などを改善します。PDCAサイクルを回すことで、継続的にフォーム営業を改善していくことができます 。
フォーム営業で成果を上げるための方法
フォーム営業で成果を上げるためには、ターゲットが興味を持ってくれるような、効果的な方法で行うことが大切です。ここでは具体的な方法を紹介します。
- ターゲットの明確化
ターゲットを明確化し、そのニーズに合わせたメッセージを送信することで、反応率を高めることができます 。例えば、製造業向けのソフトウェアを販売している企業であれば、製造業の企業をターゲットに、生産性向上やコスト削減に繋がるという点をアピールするメッセージを送信します。 - 私信化
顧客の名前や企業名などを含めるなど、送信相手向けに送っていると受け手が理解できるメッセージを送信することで、顧客との距離を近くすることができます。 - メリットの提示
顧客が得られるメリットを具体的に示すことで、見込み顧客の興味関心度合いを高めることができます。例えば、「このサービスを導入することで、業務時間を〇〇%削減できます」のように、具体的な数値でメリットを示すことが効果的です。 - 行動喚起
資料請求や無料相談など、顧客に具体的な行動を促すことで、コンバージョン率を高めることができます。例えば、「資料請求はこちら」や「無料相談のお申し込みはこちら」のように、行動を促すための明確な指示を記載します。 - 信頼性の訴求
企業情報や実績などを掲載することで、顧客からの信頼を得ることができます。例えば、顧客事例や受賞歴などを掲載することで、信頼性を高めることができます。 - 緊急性の訴求
期間限定のキャンペーンなどを実施することで、顧客の行動を促すことができます。例えば、「今だけ限定割引」や「先着〇〇名様限定プレゼント」など、緊急性をアピールすることで、顧客の行動を促します。 - 物語性
顧客の共感を得られるようなストーリーを語ることで、顧客に刺さるメッセージを届けられる可能性が高まります。例えば、顧客が抱える課題を解決した事例を紹介することで、共感を得ることができます。 - 簡潔でわかりやすい文章
フォーム営業では、画像や動画などを必要とせず、文章だけで顧客にアプローチすることができます 。そのため、簡潔でわかりやすい文章を作成することが重要です。例えば、専門用語を避け、顧客が理解しやすい言葉で説明します。 - 自動化の検討
フォーム営業を自動化するツールを活用することで、効率化を図ることができます。例えば、フォームの入力や送信を自動化できるツールがあります。
フォーム営業の自動化ツール
フォーム営業を効率的に行うためには、フォーム営業ツールの活用が有効です。フォーム営業ツールは、フォームの作成、送信、効果測定などを自動化することで、営業担当者の負担を軽減し、生産性を向上させることができます。
フォーム営業の自動化ツールの比較ポイント
フォーム営業のツールは以下のようなポイントで比較すると良いでしょう。
- 機能
自社のニーズにあっているかやフォーム作成、送信、効果測定、自動化などの機能 - 使いやすさ
操作性、インターフェース、サポート体制など - 料金
月額料金、初期費用、無料プランの有無など - セキュリティ
データの安全性、プライバシー保護など
主なフォーム営業の自動化ツール
代表的なフォーム営業の自動化ツールには以下のようなものがあります。
ツール名 | 主な機能 | 特徴 |
---|---|---|
リードダイナミクス | フォーム作成、送信、効果測定、AIによる自動化 | AIを活用することで、ターゲティングや送信内容の最適化を自動で行うことができます。 |
GeAlne | フォーム作成、送信、効果測定、自動化 | シンプルな操作性で、初心者でも利用することができます。 |
IZANAGI | フォーム作成、送信、効果測定、自動化、リスト作成 | 大量のリスト作成、送信、効果測定を自動化することができます。 |
プッシュ型営業手法における、アプローチ手法毎の反応率
商材の特性にもよりますが、フォーム営業は他のプッシュ型営業手法と比較して、反応率が高い傾向があります 。DMの反応率が0.3〜2.1%であることを考えると、問い合わせフォーム経由の営業は効率が高いといえます。
プッシュ型営業手法 | 反応率 |
---|---|
Eメール | 約0.5% ※参考:開封率は全業種平均で約21.5% |
テレマーケティング | 約0.5〜3% |
FAX DM | 約0.03〜0.1% |
郵送によるDM | 約0.3〜2.1% ※参考:郵送DMの開封率(本人宛)は64.3% |
問い合わせフォーム営業 | 約3%~5% |
見込み顧客に有用な情報提供を
フォーム営業は、デジタル時代における有効な営業手法の一つです。しかし、成功させるためには、適切な情報発信が不可欠です。本記事で解説した内容を参考に、フォーム営業を効果的に活用することで、新規顧客獲得へと繋げていきましょう。他のプッシュ型施策も同様ですが、その情報を見た見込み顧客にとってメリットがあり、かつ有用な情報を提供していくことが最も大切になります。
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